血液中の血糖値が上昇し、高い状態が続くことを糖尿病と呼びます。また、糖尿病には大きく、“1型糖尿病”と“2型糖尿病”があります。
1型糖尿病は、膵臓のβ(ベータ)細胞が破壊されることでインスリンが十分に分泌されなくなる病状で、インスリン注射による治療が必須です。
2型糖尿病は、運動不足や食べ過ぎ、体質などに加え、ストレスも発症の原因と考えられています。
今回の記事では、ストレスと糖尿病の関係やストレスによる糖尿病悪化の予防、ストレスの発散方法について紹介します。
目次
ストレスで血糖値は上昇する?
ストレスと血糖値の上昇には関連性があるとされます。これは、ストレスによって体内で分泌されるホルモンの作用によるものです。
ここでは、そのメカニズムや、ストレスによる糖尿病悪化の予防策について解説します。
ストレスは糖尿病の敵
ストレスを受けると、アドレナリンやコルチゾール、成長ホルモンが分泌され、糖尿病の悪化につながります。分泌されたこれらのホルモンが、血圧や心拍数に加え、血糖値も上昇させるためです。
コルチゾールは副腎皮質から分泌されるホルモンの一つです。ストレスに耐えるための働きを持ちますが、脈拍や血圧を上昇させて脳の覚醒を促すため、糖尿病悪化の原因になります。
また、日常的にストレスを受け続けていると、インスリンに対する反応が鈍くなり、血糖値が下がりにくくなります。
ストレスによる糖尿病悪化の予防
ストレスによる糖尿病悪化を防ぐためには、うまくストレスを解消することが重要です。
睡眠をよくとって、好みのアロマを使用したり、照明を落ち着いた色に変えたりして、リラックスできるように工夫をしましょう。
家族や同僚、上司などとの性格が合わなかったり、相手がハラスメントをしてきたりと、人間関係にストレスは付きものです。なるべく血圧や脈拍を安静に保つためには、一緒にいてストレスが溜まる人とは最低限の付き合いだけにして、距離を取ることがおすすめです。
ストレスの発散方法
強いストレスを受けると、糖尿病や糖尿病合併症の悪化につながる可能性があります。
血糖値のコントロールためにも重要な、ストレスの発散方法を2つ紹介します。
適度な運動をする
ストレスの発散に大きな効果が期待できることに、“適度な運動”が挙げられます。適度な運動とは、ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動や筋トレです。
一定のリズムで体を動かすウォーキングやジョギングは、心を穏やかにする神経伝達物質(セロトニン)の分泌を高めるといわれています。また、日光を浴びて運動をすると、よりセロトニンの分泌が促進されます。
デスクワークが多い方は、座ったままできるストレッチがおすすめです。ストレッチには肩こりや頭痛の解消、リラックスの効果があり、ストレスの緩和につながります。
ストレッチをする際には、呼吸は止めず、大きく呼吸をしながら弾みをつけずに体を伸ばしましょう。
また、ウォーキングなどの運動は血糖値を下げる効果も期待できるので、積極的に体を動かすようにしましょう。
おしゃべりや笑うこと
ストレスを発散させるためには、よく動き、よく眠り、親しい人とお喋りをしたりして、嫌なことを忘れることが大切です。
なにか悩み事がある際には、家族や友人などの信頼できる人に打ち明けるのもよいでしょう。悩み事を人に話すと、アドバイスがもらえたり、頭の中での整理がつけやすくなったりするためです。
悩みや相談だけではなく、取り留めのない会話をして笑い合うこともストレス発散につながります。笑うことで副交感神経が優位に働き、セロトニンや、気分を高めるホルモン(エンドルフィン)、楽しい気持ちになるホルモン(ドーパミン)が分泌されるためです。
ストレス発散の際の注意点
ストレスを発散させるための方法は、人によってさまざまです。しかし、ストレスを解消させようとして取った行動が、血糖値の上昇につながってしまう場合もあります。
ここでは、ストレス発散の際の注意点について2つ紹介します。
発散のための暴飲暴食
糖尿病の原因のひとつは、暴飲暴食です。そのため、食べることが好きな方や、ストレス発散の手段として「ヤケ食い」や「甘いものの飲食」をする方は、血糖値の急な上昇に注意しましょう。
食生活の乱れは血糖値のコントロールを悪化させ、肥満にもつながります。肥満になると、インスリンの効果が悪くなり、血糖値が下がりにくくなります。
野菜を中心によく噛んで食べ、暴飲暴食を防ぐ工夫が大切です。
喫煙・飲酒
ストレスが溜まると、イライラした気分を落ち着かせるためにタバコを吸う方もいるのではないでしょうか。
しかし、タバコを吸うと交感神経が刺激されて血糖値が上昇し、インスリンの働きを妨げます。そのため、タバコを吸う方は吸わない方に比べると糖尿病になりやすいといえます。
また、アルコールを摂取してストレスを発散している方も注意が必要です。適度なアルコールは糖尿病の予防になるといわれていますが、過度なアルコール摂取は糖尿病をはじめ、さまざまな生活習慣病の原因になります。
まとめ
ストレスを受けると、アドレナリンやコルチゾール、成長ホルモンなどが分泌されます。これらのホルモンは脈拍や血圧、血糖値を上昇させるため、糖尿病を悪化させます。
また、ストレスを受け続けると、血糖値を下げるためのホルモンであるインスリンへの反応が鈍くなることも懸念点です。
適度な運動や趣味、親しい人との楽しい会話などストレスを発散させ、糖尿病の悪化を防ぎましょう。