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2024.01.22

お口の中の沈黙の病、歯周病!~第6の合併症とも言われる歯周病と糖尿病の知られざる関係~

 

糖尿病の怖さはさまざまな合併症を引き起こすことです。近年糖尿病と歯周病の関連がはっきりしてきました。歯周病もまた患っている方が多い疾患です。この2つの疾患の関連を知って、それぞれの改善に活かしていきましょう!

こんな症状があったら歯周病?

成人が歯を失う最も多い理由は歯周病です。歯周病には歯肉炎と歯周炎があります。歯周炎は歯を支えている歯槽骨が破壊されて歯を失う原因となるので、治療を必要とします。
歯を磨いていて出血がある、口臭を指摘される、歯肉が下がってきた、体調がすぐれないときに歯肉が腫れるなどの症状に思い当たることがある場合は、歯周病を疑って歯科医院を受診してみると良いでしょう。

糖尿病と歯周病の関係

糖尿病と歯周病、一見関係がなさそうに見えるこの2つの疾患ですが、『糖尿病患者に対する歯周治療ガイドライン』が作成されるほど、両疾患は関りが深く、合併症とも認識されています。これらの疾患には、双方向に関係性があることが分かってきました。

 

糖尿病の人は歯周病になりやすい

高血糖が続くことにより、歯周病原細菌による炎症を起こしやすくなり、歯を支える骨が壊される「骨吸収」が促進されることがあります。また、糖尿病の方は唾液の分泌量が減少しやすく、唾液中の糖分の濃度が上昇するため、プラークの付着や細菌の増殖が促進され、歯周病が進行しやすくなります。さらに、歯周病が進行すると、歯肉の中で作られる炎症物質が、血液を介してインスリンの働きを悪くするのです。

 

歯周病の人も糖尿病になりやすい

また、歯周病の人は糖尿病を発症しやすい状態にあります。出血や膿を出しているような歯周病は、歯周ポケットから炎症物質を血管を経由して体中に放出します。血流にのった炎症物質は、血糖値を下げるインスリンの働きを悪くするため、糖尿病が発症しやすくなり、進行も促進してしまうのです。

歯周病治療で糖尿病が改善する!

糖尿病と歯周病の関係性がわかってきたことで、歯周病の治療をすると血糖コントロールが改善するという研究成果も数多く報告されるようになりました。治療により歯肉の炎症がおさまってくると、インスリン抵抗性が改善されていくのです。

歯周病と言われたら

歯周病に限りませんが、歯科疾患は放置していて悪化することはあっても改善が望めることはほぼないと言えるでしょう。悪化すれば治療のハードルが上がるばかりか血糖コントロールも悪化するのです。

口の中のトラブルがあれば、すぐに歯科医院を受診しましょう。治療が必要かどうかを早めに発見して早めに治療することは、重症化させないためにとても大切なことです。また糖尿病の症状が悪いと歯周病の治療がうまく進められない場合もあり、医院同士で連携を取ってもらう必要が出てくることもあります。ご自身が糖尿病患者であることや飲んでいる薬の情報提供などが適切にできるように準備して受診すると良いでしょう。

歯周病の治療とは

歯周病の改善にはセルフケアとプロのケアの組み合わせが有効です。歯周病の原因は歯の表面に付着しているプラークと呼ばれる歯垢ですから、ブラッシングなどのセルフケアによってしっかり取り除きます。しかし歯周病は口の中全体の歯で同時に進行していくので、どうしてもセルフケアだけでは補いきれないことも。歯科医院を定期的に受診して歯周ポケットの中に付着しているプラークや歯石も取り除いてもらいましょう。

 

まとめ

糖尿病をお持ちでも歯周病のことを意識していなかったという方も少なくありません。しかし歯を失うことは生活の質も下げますし、ちゃんと噛めないことで認知症やそのほかの疾患へ繋がっていくおそれも否定できません。ぜひ積極的に歯科医院を受診し、歯周病の早期発見・早期治療に努めましょう。